①『出会い』(特別寄稿:大平光代)

皆さま、こんにちは。大平光代です。今回は、私から見た夫、川下の人となりをお伝えしたく、この場をおかりしました。しばらくお付き合いくだされば嬉しいです。

川下と私は結婚して今年で13年目を迎えます。もう13年も経ったのかと思う時もあれば、まだ13年かと思う時もありますが、こうして仲良く暮らせていることに感慨深いものがあります。

思えば13年前のあの日から私の第3の人生が始まりました。川下と交際し始めて間もない頃、京都まで歌舞伎を見に行く電車の中で、川下から突然「おふくろと親父に会う?」と聞かれました。突然の事でどう返事をしてよいかわからず、「私を連れて行ったらびっくりしはるんとちがう」と言うと、川下は「かめへんやん」と涼しい顔で言いました。

翌週、大阪市東住吉区の実家を尋ねると、ご両親とも最初はとても驚いた顔をしておられましたが、帰り際、お母さんは私の手を握りながら「清のこと、よろしくお願いします」そう言って下さったのです。

その時のお母さんの表情を見て思いました。お母さんにとっては大切に大切に育ててきた自慢の息子です。再婚相手に選んだ相手が、14歳で割腹自殺未遂、その後暴走族に入り挙句の果てに極妻になって背中に刺青まで入っている。大阪市助役在任中は喧嘩が強いなどと散々言われていて、毎日のようにテレビで見ていた女性が今、息子の再婚相手として目の前にいる。もし私がお母さんの立場だったら、「もっと他にええ人はいなかったの?」と言いたくもなったでしょう。でもお母さんは、私の手をしっかりと握りしめてくれました。そして「清のことをよろしくお願いします」と言ってくださったのです。私はその手の温もりを今でも忘れることができません。その時私は、このご両親に育てられた川下の人間性に間違いはないと確信したのです。そしてそれは奥深い愛情、秘めた思いやりとして日常生活のなかで現れました。

2019年7月4日 17時00分